こんにちは。
今回は今まで愛読していたなろう小説が完結してしまったので
書籍化はまだしてないですが紹介&レビューします。
今日ご紹介するのはこちら
戦記なのにノリかるーい
内容紹介
「王冠の野望と伯爵令嬢の憂鬱」は「有限会社軍鶏鍋屋五鉄」氏のSLG風戦記小説。
まずはなろうでの作者あらすじ
ふっと、気がつくと、私は煌びやかなダンスホールにいた。
ものすごい高そうな調度品とキラッキラしてる連中が周りにいる。
あれ? さっきまでデスクで残業してて、今週は40時間ほど残業してて、家には何日前に帰れてたかよく覚えてないけどパソコンの前でキーボードを叩いてて、なんで私こんなことやってんだろうって涙が止まらなくなって、不意に眠くなって……
……そしてここにいた。
うん、あらすじ見てもわかんねぇ……
主人公が転生したのは前世でよく遊んだ「王冠の野望」というゲームに似た世界。
王冠に封印された邪龍が目覚め王様が乗っ取られめちゃくちゃやり始めるので各諸侯を選び王様を倒せ、という戦略シミュレーションゲーム、つまり信○の野望ファンタジー版。
ゲームのオープニングは舞踏会の最中、急に王が乱心して参加者を惨殺、そこから逃げ出した人たちが反旗を翻すというもの、
主人公が目覚めたのは舞踏会の最中……今かよ!逃げねば!と傍にいたゲーム中最高の武力100の脳筋天然兄を説得(すぐ信じた)して脱出、本来ならここで死んでる主人公、無事逃げ延びたけどさあこれからどうしよう、というプロローグ。
割と悲惨で硬派なガチ戦記だけどこの作品、キャラのノリが軽い、めちゃくちゃ軽い。
ここであらすじ(第一話の序盤まんま)の続きを見てみましょう。
……そしてここにいた。
いや、ここどこよ。
まず自分の格好をチェック。
んっんー? 控えめに見てお姫様みたぁい。
「もしこの格好をイラストに描く人がいたら大変じゃない?」っていう感じのフリルを、これでもかって盛った黄色のドレス。
でも周りの人もこんな格好だし、もっと派手な人もいるし、なんか舞踏会的なやつなんだろうか?
あと自分の手、白っ。なにこれ、貴族かよ! ……貴族かよ、もしかして。
周囲をチェック。
ジェントルジェントルしてるおっさんとかおばさんとか若い子とかイケメンとかメイドさんとか、なんだこれ。
さっきまで課長が「そのでかすぎる胸のせいでキーボードが打ちにくくて仕事ができねぇんだろうがよ」とか言ってた方向には私を不思議そうに見てるおっちゃんがいる。
課長よりも品はよさそうだ。おっぱい揉んでこなきゃなんでもいい。
観察してみるとその服は明らかに高そうで、これ庶民じゃないよなぁ、という感じ。
「どうかしたのかね?」
「ぴぇ!」
おっさんがいきなり声をかけてきて驚いた。
「い、いえ、なんでもございませんわ、ディオメド侯爵」
なんとか取り繕う。ん、いや、待て。私、今、なんつったか?
私はどうやらおっさんのことをよく知っているらしい。
侯爵? 貴族かよ、やっぱり。
ってことはやっぱりあれか?
私は王子様に婚約破棄される未来なのか。ヤダー! よくあるやつー!
婚約破棄されて、どうすればいいんだ?
課長には「無駄にでかい乳を使って取引先を誘惑してこい」とか言われてて、あっ、なんかむかついてきた。課長むかつく。ぶち転がすぞ、課長。
「ふん、ペドレ……伯爵家の田舎者は、こんな場所には不似合いだと気づかんのか」
おっさんがぶつぶつ呟いてどっかに行った。課長よりはむかつかない。おっさんオッケー。
家名のところは声が小さすぎてよく聞こえなかったがうちの家は伯爵家らしい。
しかも田舎もんらしい。
私が王子の婚約相手だったらいくらなんでもこんなことは言われないだろう。
あと、もし私が王子の婚約相手だったらさっきのおっさん以外にもいろいろ話しかけられているはずだろう。
ボッチ素敵!
つまり私は貴族の家の一員だけど凡百のどこにでもいる存在ってことだ。いいじゃないいいじゃない。
田舎に引っ込んで貴族らしい生活を送るなんて、課長におっぱい揉まれるよりはるかに健康的に生活できる。課長早くくたばらねーかな。
終始こんな感じのノリで軍を率いて敵と戦ったり、政治的駆け引きしたり、友達と遊んだりします(課長は転生してきません)。
まあノリが合わない人には向かないですが、僕には大ヒット、言い回しがいちいち面白くてクスっとしてしまいます。
戦記なので普通に味方が死んだり主人公も傷ついたりします(回復魔法なんて無い)
でもそれほど陰鬱にならずに楽しく読めるのはこのノリのおかげ、ほんと好き。
女主人公のうえ、魔法とかチートが使えるわけではないので基本的には内政&軍師で領地を発展させていきます。
チートは前世知識として各キャラクターの武力とか政治とかのステータスの知識とこれから起こるイベントなどが分かる程度。
戦闘は最強武力の兄を心配しつつもけしかけ、有能キャラを仲間にしたり原作主人公格の家と同盟したりしてわりと大変な世界を仲間とワイワイ楽しく生き伸びていく、そんなお話です。
登場キャラが敵も味方も面白いキャラばかりで主人公の現代風なノリにもなぜかついてこれるので会話が面白い、みんな魅力的で良い奴ばかり、もっとこの世界を見たいと思わせる作品でした。
キャラクター所感
ジェルメーヌ 主人公 ペドレッティ家の長女で転生者。本来は序盤で死ぬはずだったのでステータスは謎のままだが多分政治力とか知力が高そう。のんびりしているペドレッティ家のケツを叩き一大勢力にまで伸し上げる女傑(と世間では思われてる)。中身はノリの軽い現代人のOL。他人の恋愛を見るとお節介おばさんと化す、本人は超鈍感。女主人公で周りはイケメンだらけだが逆ハーレム感はなぜかない。
ベルナール 兄 ペドレッティ家の次男。軍神と呼ばれるくらい統率と武力が高いがそれ以外は軒並み低い脳筋で天然のお兄様。前世で主人公はこの尖ったキャラを使いたいがためにペドレッティ家でよくプレイしていた、他のキャラは弱い。
ユーリ 兄 ペドレッティ家の長男。次期ペドレッティ伯爵だが能力は低く詩ばっかり歌ってる詩人。でも性格はよく慕う人は多い。実は国中で人気がある詩人、
パスカル・シクス 原作主人公格 シクス家の当主で原作ゲームでメインとなる家。能力もバランスよく高い、家も大きい。ペドレッティ兄弟と近所だし仲がよいのでいろいろ協力してくれる。
ナタリー 友人 美少女。美少女すぎて美少女としか認識してないので名前が出てこない。
聖女 友人 どう見てもギャル、喋り方もギャルなのでジェルメーヌは初対面の時タピオカの話題を振ったが特に反応は無かった。ギャルだけどめっちゃいいやつ。
メンディ大司教 ジェルミ教の大幹部 最大の魔法力を持ったりネクロマンサーだったり教会のトップだったりでめっちゃ怪しい。ベルナールとは学生時代の友人でよく魔法を見せてくれた
北方同盟 ペドレッティ家と近所の子爵家や伯爵家、ものっそい田舎なので仲が良く昔から同盟を組んでる。ジェルメーヌの脳内では「辺境仲よしクラブ」に変換されている、好き
王冠の野望と伯爵令嬢の憂鬱
そんなわけで紹介してきました「王冠の野望と伯爵令嬢の憂鬱」
今日(20.11.29)全240話で堂々完結しました。
毎朝更新で楽しみにしてたのでまた朝の日課がなくなってしまって悲しい……
書籍化して欲しかったけどどうなんでしょうね、完結したら難しいのかな?
なんにせよお疲れ様でした、このノリ大好きなので作者さんの次回作に期待です。
というわけで今回はこの辺で。
ではまたノシ